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多重債務解決の4つの方法

2.個人再生手続

個人債務者再生

平成13年4月1日より施行された新しい制度で、民事再生法の特則的な制度です。破産をしたくない場合の選択肢が一つ増えたことになります。この手続きの特徴は、「住宅ローンを抱えた債務者が、住宅を手放すことなく債務を整理することができる」ということです。ですが、住宅ローンがなければ使えないというものではありません。また、元本を一定の割合でカットする、というのも大きな特徴です。

個人債務者再生の手続は、裁判所が決めたスケジュールに基づいて進行します。そして、最後に、債務者自身が再生計画をたてなければなりません。この再生計画が裁判所で認可されて、そこで再生手続きは終わり、それ以降は、再生計画に従って、弁済を続けていくことになります。申立てから再生計画が認可されるまで、約6ヶ月かかります(東京の場合)。

個人債務者再生の種類

個人債務者再生には、

  1. 小規模個人再生
  2. 給与所得者再生

の二つがあります。住宅ローンがある場合は、「住宅ローン条項」をオプションとします。

  • 小規模個人再生
    • 将来において継続的または反復的に収入を得る見込みがある者
    • 借金総額が5000万円以下であること(但し、住宅ローン等は除く)
    • 弁済期間は3年であること。但し、特別な事情があるときは、5年まで延長可能
    • 最低弁済額(*)
    • 再生計画につき、債権者による書面決議が行われる
  • 給与所得者等再生
    • 給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みのある者であって、その額の変動が小さいと見込まれる者
    • 借金総額が5000万円以下であること(但し、住宅ローン等は除く)
    • 弁済期間は3年であること。但し、特別な事情があるときは、5年まで延長可能。
    • 可処分所得(*)(小規模個人再生との相違)
    • 再生計画につき、債権者による書面決議はない(小規模個人再生との相違)

最低弁済額と可処分所得

小規模再生を選択するか、それとも給与所得者再生を選択するかを考えるには、まず、 再生手続による返済予定額を考えなければなりません。それは、次のように決めていきます。

総債務額 最低弁済額
100万円未満 左と同じ金額
100万円〜500万円未満 100万円
500万円〜1500万円未満 左の金額の1/5
1500万円〜3000万円以下 300万円
3000万円超〜5000万円 左の金額の1/10

可処分所得過去2年間の収入合計から、その期間の所得税や住民税や社会保険料を控除した額を1/2し、1年間の収入を算出します。その額から、政令で定める住居費などを控除した金額を算出し、その額の2倍の金額が可処分所得となります。また、退職やリストラで無職の状態から再就職して、安定して給与を得るようになった場合は、安定するようになったときから、計算します(この計算はややこしいです)。

清算価値保証

破産したら債権者に配当できるであろう額。簡単に言えば、総財産の額となります。個人債務者再生では、清算価値より多くの返済をしなければなりません(清算価値保障原則)。

小規模個人再生の場合は、「最低弁済額」と「清算価値保証」のいずれか高い金額を、給与所得者再生の場合は、「最低弁済額」と「可処分所得」と「清算価値保証」で、一番高い金額を、原則3年間で支払っていくこととなります。

小規模個人再生・給与所得者再生、どちらを選択するか

上記の計算に従って、「最低弁済額」「可処分所得」「清算価値」がそれぞれ判明したら、これらの中で一番高い金額(3〜5年の分割弁済となるので、それぞれ返済回数で割る)と、自分が毎月払えそうな金額(返済原資)を比較します。

  • 最低弁済額<可処分所得 → 小規模個人再生を選択すべき(但し、可処分所得と最低弁済額の差がそうない場合や、可処分所得の金額を支払っていけそうな場合は、給与所得者再生を選択した方がいいと思われる。)
  • 最低弁済額≧可処分所得 → 給与所得者再生を選択

一般的に、上記の三つを比較した場合、可処分所得が一番高額になるケースが多いのが実情です。
その高額な可処分所得を3年〜5年の返済回数で割った金額を返済原資として用意できるならいいのですが、通常は、その金額を用意できません。従って、小規模個人再生を選択せざるを得ない、というのが現実です。

しかし、小規模個人再生の場合、債務者が提出した再生計画に対して債権者による書面決議を行います。再生計画に対して同意しない旨の回答をした債権者の数または債権額が法定の要件を満たせば、再生計画が不認可になります(住宅ローン条項を使うときは、住宅ローン債権者は議決権者とはなりません)。そうなると、再生手続きは終わってしまい、破産へと移行していくこともあります。小規模個人再生は、こういった危険性があります。

一方、給与所得者再生の場合は、再生計画決議はありません。従って、小規模個人再生の場合より返済予定額が高くなっても、こちらを選択する利点もあるわけです。また、給与所得者再生の場合、申立時点において、「給与所得者再生が相当と認められないときは、小規模個人再生の手続に移行してもらいたい」旨を求めておくことができます(その逆はできません)。

再生計画

(例)

  • 小規模個人再生を選択
  • 総債務額が400万円
  • 可処分所得200万円
  • 清算価値は60万円
  • 債権者
    A(200万円)・B(50万円)・C(150万円)
  • 返済期間は3年間とする。

最低弁済額100万円>清算価値60万円なので、100万円を3年間で支払っていくこととなる。

  • 400万円-100万円=300万円(免除される額)
  • 300万円÷400万円=0.75=75%(免除率)

債権者Aに対する返済額(B、Cも同様に計算していく)

  • 200万円-(200万円×75%)=50万円
  • 50万円×2.778%(*)=13,890円(毎月の返済額)
  • 50万円-13,890×35回=13,850円(最終回の返済額))

(*)毎月の返済額の割合。1/36=0.027777…→2.7777…%→2.778%(小数点第3位切り上げ)このような計算をして、再生計画を作っていきます。

債権者による再生計画

決議小規模個人再生を選択した場合につきまとうのが、この再生計画決議です。小規模個人再生の場合、最終的な判断を債権者に預けているという特徴があります。返済額が低くなるものの、債権者がいいと言うのだから、それでいいという考え方です。一方、再生計画が否決され不認可となってしまった場合は、破産になってしまう場合もあります。

しかし、上にも書いたとおり、可処分所得が高額になってしまって給与所得者再生が使いづらい(使えない)という場合が多い現状から、小規模個人再生を選択するケースのほうが多いのが実情です。

では、債権者が再生計画決議で不同意を出すかというと、これは債権者がすることなので何ともいえませんが、一般的にいわれているのは、「特定の政府系金融機関は不同意を出すが、それ以外の債権者は不同意を出さない」ということです。但し、だからといって、債権者が絶対に不同意を出さないということにはなりません。

再生計画決議については、「再生計画案に同意しない旨を書面で回答した議決権者が、議決権者総数の半数以上、またはその議決権の額が議決権総額の2分の1を超えた場合には、裁判所は再生手続の廃止を決定しなければならない」となっております。つまり、数の半分か額の半分以上の債権者が不同意を出したら、そこで再生手続きは終わってしまうということです。

従って、債権者総数が少ないとき、一社だけ飛びぬけて債権額が高いときなどは、否決される可能性も高くなりますので、小規模個人再生でさえも使いづらいということにもなります。

再生計画認可決定・認可決定確定そしてその後

再生計画が認可決定された場合、「認可決定」という書面が送られてきます。また、再生委員の報酬も決定され、その書面も送られてきます(再生委員の費用は、再生委員が決めるのではなく、裁判所が決めるものですので、誤解なきようお願いします)。個人債務者再生手続の期間中に再生委員へ払っていた合計額が、裁判所によって決定された再生委員の報酬より多かった場合、その余剰分については返金されます。

認可決定後、各再生債権者に対して、振込口座の確認を行いながら(再生債権者に対し、認可決定の写しと、振込口座指定書等を送付します)、認可決定が確定するのを待ちます。認可決定が確定するのは、認可決定が官報に掲載されてから2週間後となっています。確定の日は、認可決定が出た日から約1ヶ月後というのが目安です。

認可決定が確定したことについては、裁判所から通知はされませんので、こちらで確かめる必要があります。従って、確定したであろう時期を見計らって、裁判所に確定した日付を問い合わせます。確定していたら、確定証明書(150円)を取得し、その写しを各再生債権者に送付します。
再生計画では、再生債権者への返済は、「再生計画認可決定の確定した日の属する月の翌月から開始する」というようになっています。従って、「確定した日」というのは、とても重要なのですが、その日については、再生債権者に連絡が行くわけでもないので、こちらから知らせないと、再生債権者もいつから返済が始まるか分かりません。なので、確定証明書を送付するわけです。

このようにして、認可決定が確定した日が判明したら、債権者に対して3年間(原則)の返済が始まります。

再生委員

東京の場合、必ず再生委員(弁護士さん)が選任されます。そして、再生委員に、毎月の返済予定額を支払うこととなります(再生員の銀行口座に振込)。これは、再生計画認可後、債務者が債権者に対して、ちゃんと返済していくことができるかどうかを見る履行テストでもあります。

<メリット&デメリット>

以上のように、個人債務者再生は、とても大変な手続となります。しかし、任意整理では返済できないが個人債務者再生でなら返済できるような場合、破産をしたくない・破産ができないような場合等は、この個人債務者再生はとてもいい制度であると思います。

小規模個人再生の一般的なスケジュール

  • 相談・受託

    相談を受ける。受託をすれば、債権者に受任通知を発送。依頼者には、必要書類などを集めてもらったり、陳述書の記載をしてもらったりする。

  • 打ち合わせ

    必要書類などを受取る。不足書類があれば改めて。打ち合わせは、数回行います

  • 申立・予納金納付

    裁判所に書類を提出(債務者の住所地を管轄する地方裁判所)。個人再生委員選任。債権者に、個人債務者再生申立通知を発送。

  • 再生委員と面接

    再生委員の意見書提出

  • 開始決定

    手続開始。以後、返済禁止

  • 債権届出期限

    債権届出期限 債権者から、債権を届け出る

  • 再生債務者の債権認否一覧表、報告書の提出期限

    債権者から届け出られた債権につき、再生債務者から認否を行う。再生債務者の財産状況等に変更がないかどうかを報告する。

  • 一般異議申述期間

    届出債権に対して、異議があれば述べることができる(申立時に異議留保していた場合

  • 評価申立期限

    異議が述べられた債権を確定させるための手続

  • 再生計画案提出期限

    再生債務者が再生計画を作らなければならない

  • 書面決議に関する個人再生委員の意見書提出
  • 書面による決議に付する旨の決定

再生債務者が提出した再生計画案につき、再生債権者の書面決議を行う(小規模個人再生のみ)

  • 回答書提出期限
  • 認可の可否に関する個人再生委員の意見書提出
  • 再生計画の認可・不認可決定
    ↓ 官報掲載2週間経
  • 認可確定
    ↓ 確定した月の翌月から
  • 返済開始

    再生計画に従って返済開始

給与所得者等再生の一般的なスケジュール

  • 相談・受託

    相談を受ける。受託をすれば、債権者に受任通知を発送。依頼者には、必要書類などを集めてもらったり、陳述書の記載をしてもらったりする。

  • 打ち合わせ

    必要書類などを受取る。不足書類があれば改めて。打ち合わせは、数回行います
    ↓相談・受託時より約1ヶ月〜

  • 申立・予納金納付

    裁判所に書類を提出(債務者の住所地を管轄する地方裁判所)。個人再生委員選任。債権者に、個人債務者再生申立通知を発送。

  • 再生委員と面接

    再生委員の意見書提出

  • 開始決定

    手続開始。以後、返済禁止

  • 債権届出期限

    債権届出期限 債権者から、債権を届け出る

  • 再生債務者の債権認否一覧表、報告書の提出期限

    債権者から届け出られた債権につき、再生債務者から認否を行う。再生債務者の財産状況等に変更がないかどうかを報告する。

  • 一般異議申述期間

    届出債権に対して、異議があれば述べることができる(申立時に異議留保していた場合)

  • 評価申立期限

    異議が述べられた債権を確定させるための手続

  • 再生計画案提出期限

    再生債務者が再生計画を作らなければならない

  • 書面決議に関する個人再生委員の意見書提出
  • 書面による決議に付する旨の決定

再生債務者が提出した再生計画案につき、再生債権者の書面決議を行う(小規模個人再生のみ)

  • 回答書提出期限
  • 認可の可否に関する個人再生委員の意見書提出
  • 再生計画の認可・不認可決定
    ↓ 官報掲載2週間経
  • 認可確定
    ↓ 確定した月の翌月から
  • 返済開始

    再生計画に従って返済開始

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